山と旅と気象と

立山・剱岳

山行概要

山行日程

2022年9月10日土曜日〜11日日曜日

天気

9月10日:晴、9月11日:晴

アクセス

JR北陸新幹線・あいの風とやま鉄道富山駅下車、電鉄富山駅より富山地方鉄道本線・立山線で立山駅へ。立山駅から立山黒部アルペンルート(立山ケーブルカー、立山高原バス)で室堂バスターミナル。復路はその逆行程。

コース

コース詳細

Day1:室堂(立山自然保護センター)→室堂山荘→一の越山荘→立山雄山神社(雄山登拝)→大汝山→大汝休憩所→真砂岳→別山南峰→別山北峰→別山南峰→剱澤野営場(テント泊、買い物で剱澤小屋往復)

Day2:剱澤野営場→剣山荘→一服剱→前剱→平蔵のコル→カニのタテバイ→剱岳→カニのヨコバイ→平蔵のコル→前剱の門→一服剱→剣山荘→剱澤小屋→剱澤野営場(テント撤収)→剱御前小舎→雷鳥坂→雷鳥沢キャンプ場→雷鳥荘→みくりが池温泉(日帰り入浴)→室堂バスターミナル

コースタイム

《室堂→立山→剱澤野営場》ヤマレコ5:11、山と高原地図5:28、実測3:11(※休憩・登拝時間除く ct比:ヤマレコ0.678、山と高原地図0.643)

《剱澤野営場・剱岳往復》ヤマレコ6:31、山と高原地図6:35、実測4:48(※休憩除く ct比:ヤマレコ0.737、山と高原地図0.729)

《剱澤野営場→雷鳥沢→みくりが池温泉》ヤマレコ2:50、山と高原地図3:10、実測1:53(※休憩除く ct比:ヤマレコ0.665、山と高原地図0.595)

GPS記録

ヤマレコ

YAMAP

山行記録

1年ぶりの立山黒部アルペンルート

1日1便だけの快速急行

テント泊の荷物を抱え、前夜の最終便で富山入り。宿泊は電鉄富山駅直結の富山地鉄ホテルを予約していました。ここの朝食では富山産品を使った朝ごはんがいただけるそうなのですが、翌朝の出発が早いために泣く泣く断念。次の機会には是非味わいたいところです。

そして翌朝は富山地鉄立山線の始発電車で立山駅を目指します。コロナ禍でダイヤが色々変わり、これまで宇奈月温泉・立山間で運行されていた特急アルペン号などが姿を消し、ほとんどが普通列車ばかりになりました。その中で目立つのが、電鉄富山5:14発の立山行き快速急行です。この機会にということで、立山駅でのケーブルカーの待ち時間は気にせずに乗り込んでみました。

電鉄富山駅では5時を過ぎるとすでに10人以上の改札待ち行列が発生。全員が立山行き待ちでほとんどがハイカーでした。改札開始は発車の少し前。4番ホームには「急行|立山」と表示された2両編成の快速急行が入線。立ち客はなく、全員が座席についた状態で一路立山駅へ、約1時間の旅路に出発です。

立山黒部アルペンルート立山入り

立山駅には定刻6:14着。ほとんどの乗客は我先にと改札を駆け抜けて出ていくので首を傾げていましたが、その理由は立山黒部アルペンルートの当日券販売列へ並ぶため。自分はWEBチケットを購入し、朝、電鉄富山駅で発見していたので、立山ケーブルカーの時間指定も済ませており、のんびりと売店や駅周辺を見て回ることができました。(もちろん、ザックを置いてのケーブルカー順番待ちも抜かりなく)

立山黒部アルペンルートはリハビリついでの立山三山縦走以来ほぼちょうど1年ぶり。立山ケーブルカーの始発は立山駅7:00発で、車で立山駅までアクセスした方やチケットを早く購入できた方も含めて待ち行列が一気に長くなりました。

やはり早朝出発勢は泊装備の方も多く、立ち客も含めて隙間がないくらいに埋まる中、テント泊装備を詰めた75Lザックを膝の上に置かなければならない状態。向かいの方は50Lくらいのザックで前に倒れないようにがんばっていらっしゃったので声をかけて、お互いのザックを倒しあって支える形にしました。この方も同じく剱澤野営場からの剱岳狙いとのことで、この後も会うことになります。立山ケーブルカーは定刻通り7:07美女平駅到着。昨年のハイシーズンの時と同様、室堂直行の臨時便が出ることになり、7:20室堂直行バスで立山高原道路を室堂バスターミナルに向け標高を上げながら進んでいきました。

室堂バスターミナル

立山そばで朝食を

室堂バスターミナルに8:10着。室堂から立山回りで剱澤を目指すか、雷鳥平経由で剱澤を目指すかは当日の室堂で決めることにしていました。バスから一歩降りた瞬間、ウッとなったのは硫黄の匂い。地獄谷からの火山性ガスが去年来た時よりも強い気がしました。登山届提出の声がけをしている方に聞いてみたところ、雷鳥荘付近が通行止めになるような濃度ではないとのことでしたが、なるべく遠巻きに進みたいと思い、立山回りで剱澤を目指すことに決定しました。

決まったらまずは腹ごしらえ。ターミナルのど真ん中でいやでも目立つのが立山そば。せっかくなので白えびかきあげそばで景気づけといきます。かまぼこに立山の文字が入っていたりと気分が盛り上がる逸品。山の上で少し冷えるので、ここでこの温かい一杯が嬉しい限りです。(下山時点で食べるには物足りないかもしれません……)

玉殿の湧水

立山回りで行くとはいえ、時間が余りすぎるくらいにあるので、まずは水を汲んで身支度を整えてから。泊地の剱澤にも水場はあるので行動中に困らない程度に汲めればよしという考えで、一旦外に出てターミナル目の前の「玉殿の湧水」へ。ここの水の美味しいことといったら。あえて水道水を汲んで持ってくることをしなくてやはり正解でした。

立山自然保護センター

水を汲んだらもう1箇所、去年はコロナ禍で閉館しており立ち寄れなかった立山自然保護センターへ。「ライチョウ国」と銘打って、入口から雷鳥のキャラクターが迎えてくれる楽しい施設です。ライチョウをはじめとする立山の自然や立山登山の歴史などの展示が数多くあり、ゆっくり見ていると時間がいくらでも溶けそうでした。ひと通り眺めて楽しんだのち、立山雄山を目指して3階の出口から出発です。

立山登拝(室堂→一の越→雄山)

室堂を出て一の越へ。去年は霧後雨の天気の中、浄土山で雷鳥と出逢う山行となりましたが、今回は見事に晴れ。室堂山荘周辺の景色はこの時が初見で、こんな景色だったのかとキョロキョロしながら石畳の道を進みます。「この先登山道」の看板の先も石畳は続き、一の越が近づくにつれて傾斜が大きく葛折りの道に変わってきます。一の越あたりでの雷鳥目撃報告もありますが、この天候とここまでの人出の多さでは期待は薄いでしょう。

そして歩き始めて30分少しで一の越山荘に到着。去年宿泊した山小屋ですが、今回は通過点。少し水分補給などをして、一気に雄山へた上がっていきます。一の越から雄山までは一部ルートが登りと下りで分けられており、登りは赤ペンキ、下りは黄ペンキを目標にして進みます。この時雄山山頂には霧がかかっており眺望が期待できなさそうでした。去年は一の越山荘を夜明け前に出発してヘッドライトの明かりを頼りに登ったルートで、こちらも明るい中での景色は初めてなので新鮮。登る疲れもその景色で吹き飛びます。標高が上がるにつれて雲の中へと入っていきましたが、思ったよりも雲が薄い印象。一の越から35分ほどで一等三角点の横に立つ立山雄山神社社務所に到着です。

去年は登頂時刻が早く、社務所が開いていなかったために御朱印を授かることも、雄山山頂で祈祷をしていただくことも叶わず。今回はそれも楽しみにして登ってきました。ザックをおろしてまずは社務所へ。御朱印やお札、御守りなどの授与所と並んで、温かい飲み物やカップ麺も購入できる売店もあります。御朱印を授かったら、その足で今度は頂上参拝受付へ向かいます。700円を支払ってお札をもらい、10人程度ごとに行う登拝の待ち行列に並びました。ここでケーブルカーで一緒だった方と再会。自分がそばを食べたり水を汲んだりライチョウ国を訪問したりしている間に、先に室堂を出発されたそうですが、一の越からの登りでペースダウンしたそうで追い付いた格好となりました。登拝待ちの間にそれまでガスっていた空に青空が見え始め、順番が来て頂上に案内された時にはバッチリの景色が拝めました。頂上でのみんなでの万歳三唱はなかなかの体験価値。立山雄山訪問の際には是非。

立山縦走(雄山→別山→剱澤)

雄山を出たら、岩場のアップダウンを越えて大汝山へ。富山県最高峰の3,015m。この日は山頂標識の写真待ち行列ができていました。慌てる旅でもないので休憩がてらのんびり並んで撮影。降りると大汝休憩所が営業中。大汝定食が気になりつつも、まだお腹が空かない時間ということもあって次へ進みます。富士の折立は去年登ったのでパスして、真砂岳を経由し別山南峰へ。霧がかって眺望がなければ北峰には寄らずに剱澤へ直行するつもりでしたが、いい塩梅に剱岳も拝めるので北峰へ写真を撮りに行きました。戻って南峰で小休憩の後、本日の泊地・剱澤へ。途中またケーブルカーで一緒だった方と再会。雄山からこちらは自分より遅れていたのですが、自分が北峰に行ったり南峰で休憩している間に、別山を巻いて先行していたようでした。ガレ場の急斜面を下ると剱御前小舎からのルートと合流。緩い下りの先に剱澤野営場の受付と富山県警山岳警備隊の剱澤警備派出所が見えてきました。

剱澤野営場

剱澤野営場は令和3年4月から値上げしたそうで、これまでの1泊ひとり500円から倍の1,000円になっています。テント泊装備で立山か雷鳥坂を越えてくる必要はありますが、広い野営場で自由な過ごし方が出来ることを思えば、決して高くないというかこれまでが安過ぎた感があります。

野営場の受付の目の前に水場があり、塩素が入っているのでそのまま飲用にも使えます。トイレまではちょっと距離がありますが、そんなに苦になるような距離でもありません。受付前からテントを張る場所を考えながら歩いていたのですが、野営場の受付から比較的近く、剱御前と剱澤を結ぶメインルート沿いでトイレへの分岐付近に、剱岳を真正面に捉えられる場所を見つけて受付が終わってから確保しました。テントを張り終えて一旦休憩。晩ごはんの仕込みとしてお米の浸水作業まで行ってから、徒歩10分程度の剱澤小屋へ買い出しに行きました。剱澤小屋の目の前のテラスからは真正面に剱岳とその裾に横たわる剱沢が一望でき、有名な「岩と雪の殿堂」の標柱と剱岳を一枚に収めたショットも撮影できます。やはり剱澤小屋から見る剱岳はひと味違いました。剱澤小屋ではビールと剱人のTシャツを購入。立山町のふるさと納税御礼品で入手していた3,000円分の山小屋で利用できるチケットをやっと使うことができました。剱澤小屋で使ったのが、自分がほぼ初めてなようで小屋の方も「えっと……アッ、ハイ」みたいな反応ではありこちらも戸惑いましたが笑い話です。さてテントに戻ると、朝のケーブルカーで一緒だった方が比較的近くにテントを張っていてちょうどビールを飲んでいるところだったので、ご一緒させていただくことに。2人で翌朝の剱岳のことや最近の山行の話などをしていたのですが、剱岳アタックはかなり迷っていらっしゃったようで、「剱岳までのピストンが出来ても、剱澤から室堂まで戻る体力が残せるか不安」と今日の立山経由のルートでの体力消耗から慎重になっていらっしゃるようでした。自分は未明の暗いうちから登り始めることを伝えました。

解散してから夕食の準備。今回もアマノフーズのフリーズドライにお世話になることとして、持ってきたのはチキンカツカレー。軽くて美味しいフリーズドライはテント泊山行では本当に重宝します。この日は夕食後、比較的早く身体を休めることにしました。

剱岳アタック

剱澤野営場→一服剱

剱岳アタックの朝は、日付が変わって1時半起床からスタート。9月10日は十五夜、中秋の名月ということでしたが、晴れていたものの寝る前には満月を鑑賞できず、未明のこの時間でテントから出ると剱岳と反対方向に満月が明るく輝いていました。十五夜ということで作って冷凍して持ってきた白玉団子を一旦積み上げて月見団子風にした後、ゆであずきと一緒にクッカーに入れてぜんざいを作り朝食にしました。量が多くて食べ切れるかなとも思いましたが、案外スルスルと入りました。腹ごなししつつ、テント内の撤収はほぼ終えて、装備も整え、予定の3:00より少しだけ早い2:53にクライムオン。まずは別山尾根の取り付きがある剣山荘へ向かいます。

剱澤野営場から剱岳への別山尾根往復は、両神山八丁尾根の八丁峠→両神山剣ヶ峰が山と高原地図のコースタイムほぼジャストだった経験から、こちらも山と高原地図コースタイムジャストで計画。剱澤野営場0300時発、剱岳0630着からの30分滞在後、剱澤野営場1005時着という当初計画でした。途中剣山荘を0323時通過。コースタイムよりも時間がかかっており、まぁそんなもんだよなぁと思っていました。一服剱方面の斜面には先行者のヘッデンの灯りあり。剣山荘で出発直前の4人パーティに先行し、ここから一服剱までに3人パーティ1組とソロ1組を追い抜きます。ソロの方とはその後山頂で会います。この時はその先にも先行者がいると思っていたんですよ……

剣山荘から一服剱までに通過する鎖場は1番と2番。往路ではヘッドライトの灯りが照らす範囲しか見えないためプレートを見落としていました。このあたりは鎖場といっても難易度は低く難なく通過します。一服剱とされるピークには標柱的な棒が立っているのを確認しました。

一服剱→前剱

一服剱からは一旦急坂を下ります。下りきったポイントが武蔵のコルで、そこから前剱へ向けて浮石や落石に注意しつつ進むガレ場の登りに差し掛かります。前剱大岩のところで3番鎖場、その先稜線に出たところのトラバースで4番鎖場を通過します。4番鎖場の先で、岩場を直登すると前剱山頂です。計画では前剱で日の出を迎えて明るくなったところを進んでいくつもりがまだ真っ暗。想定より早い進行となりましたが、このまま先へ進むことにしました。

前剱→平蔵のコル→カニのタテバイ

前剱から前剱の門までは登りと下りで別ルートです。稜線を進むと、噂の鉄橋(4m鉄のブリッジ)とその先の5番鎖場(トラバース)にたどり着きます。明るい中で通ると高度感マシマシのはずなんですが、周りがこうも暗いとそちらの怖さがなくなります。なので、逆に慎重に処理していきました。これがなかなか楽しい。6番鎖場を越えたあたりから徐々に白み始めました。進行方向右手に見えるマジックアワーも、真正面に影で見える剱岳も最高です。稜線を進むといえど、尾根の東側と西側を行ったり来たりするのですが、途中の「窓」を登った先で、唐松岳の陰のバックに鮮やかな朝焼けという光景に出会えました。7番鎖場・平蔵の頭、8番鎖場を通過すると、平蔵のコル。その先に上りルートの難所である9番鎖場・カニのタテバイがあります。よく見ればステンレスの鎖場看板に書いてあるんですが、最初はタテバイと気付かずに登り始めて、あまりの垂壁っぷりに「もしかして?」と途中で気付くという状況でした。遠景の写真は復路で下りルートから撮影したもの。取り付きは鎖場を左から回り込んで登り始めます。ここまできてやっとヘッデンが要らなくなってきました。さらに鎖場(カニのタテバイの一連のものの最後)を越え、カニのヨコバイとの分岐を過ぎ、大きな岩がゴロつくところを越えると早月尾根合流点です。まだ満月は出たままでした。

剱岳で御来光と満月を

稜線を進むと祠が見え、回り込むと剱岳山頂です。御来光のタイミングばっちりな上、この日の朝では早月尾根組含めて1番のりで最高のタイミングを独り占めでき、甲武信ヶ岳、火打山以来の3度目のガッツポーズ。途中追い越したソロの方も5分ほど遅れて到着しました。お互いの写真を撮り合ってから少し歓談。自分より30分早発(それでも計画より40分遅れらしい)で剱澤野営場を出たとのこと。気合が違います。さらに遅れて早月尾根に見えたヘッデンの3人パーティが到着し、山頂もにわかに賑やかになりました。剱岳からは360度見渡せる眺望が実に素晴らしく、北アルプスの山々を北から眺める至福の時間を味わいました。予定通り山頂で30分休憩の後、下山開始。最高の景色をありがとう。また来ます。

カニのヨコバイ→平蔵のコル→前剱の門

早月尾根合流点までのところで、登りで追い越した3人パーティとすれ違い。こちらは途中からコンティニュアスビレイで登ってきたようでした。さらに進んで難所と言われるカニのヨコバイへ。鎖だけ見ると高度感や足の置き場などにビックリする方もいるかもしれませんが、足下の赤矢印の意味に気付くとなんてことはないです。落ち着いたところで後続(上で一緒だったソロの方)の様子をパチリ。カニのヨコバイのラストは梯子。後続の方から「それ、もしかして雷鳥ですか?」と聞かれて振り向くと小鳥が飛んでいきました。たぶんイワヒバリ。降り切って少し進むとトイレスペースがあります。平蔵のコルまで戻ってきた格好です。11番鎖場・平蔵のコル、12番鎖場・平蔵の頭を通過し前剱へ向けて稜線をいきます。12番は末端の少し上が、上りルート7番鎖場から下りてくるコースと被り、またスラブ状の岩壁となっているため、12番の鎖を掴んで下りる人もおり、登り下りの人が混在して混雑するポイントになります。この辺りから後続との距離が開き始めました。一旦コルに降りて、13番鎖場・前剱の門を登り返すと前剱直前の下山専用ルートへ。上りの時はこの上の稜線を通過しました。写真で見ると高度感マシマシですが、現地ではそこまでではありません。

一服剱→剣山荘→剱澤小屋→剱澤野営場

復路の一服剱から振り返ると青空に剱岳がどーんと構えています。一本立ってる杭の裏に回り込むと、ノミで彫られたような一服剱の文字。山名標はやはりこの杭でした。明るい時に裏から見るとわかります。進行方向には、剣山荘、剱澤小屋、剱澤野営場が一望できます。

往路で撮り損ねた2番鎖場と1番鎖場のパネルを復路で回収。この辺りは登り降りが共通ルートで、すれ違う人から次々「(剱岳から下りてくるのが)早いですね。何時にスタートしたんですか?」と尋ねられ、その度立ち止まって少しおしゃべりしました。一番ケガしやすいと事前に聞いていて、なるほど確かにと思った区間が、剣山荘が大きく見えてからのガレ場。鎖場が終わって平易な道になるから油断しがちです。道端の美しいリンドウを愛でつつ下り、剣山荘に着いてホッとひと息。

予定より2時間近く早く戻ってきてしまったので、こちらもお腹空いてないし、剱澤小屋にちょっと用事があったので、小屋前で水だけ飲んで再出発。剣山荘の前では小屋の方が片付けなどをされていましたが、「水場を遠慮なく使っていってくださいねー」など声をかけていただきました。休憩後は花を愛でつつ剱澤小屋へ。行ってきたよ、岩と雪の殿堂。登頂後に標柱と合わせて見る剱岳は感慨深いものです。剱澤小屋入ってすぐのところが売店と受付。実はビールと一緒に購入した剱人Tシャツ、Mサイズにしたはずが渡されていたのがLサイズだったことにテントで気付き、ビールを飲んだ後だったので剱澤小屋まで行くのが面倒で、剱岳アタックの帰りに交換してもらえるか訪ねた次第でした。結果としては快く交換してもらえました。ということで、こちらもただそれだけでは申し訳ないなぁと手ぬぐいとバッジも購入。ついでに話を聞くと、前日は小屋泊に若干の空きもあった模様。小屋泊でもアタックできたんだなぁと思いましたが、テント泊で成功したことに半端ない達成感を感じており結果オーライ。剱澤野営場に戻ってテント本体を撤収。昨日のケーブルカーで一緒だった方のテントは既になく、やはり先に撤収して帰路につかれたようでした。撤収を終え出発準備をしているところに、タイミングよく荷揚げのヘリがやってきたので、その様子をしばらく見物していました。

立山の秘湯へ(剱澤野営場→みくりが池温泉)

剱澤野営場から剱御前小舎への道は緩い登りに見えましたが、それなりに傾斜があって体力削がれます。剱岳往復してきたあとなので、それはそれで当然ではあります。振り返ると剱岳が見えるのですが、自分が離れたら割と早く山頂付近がガスってきて、青空は自分の真上に。

剱御前小舎到着。一旦休憩することにして、売店でMATCHを買って飲みました。剱岳もガスり始めたというのに、自分の真上は青空で暑い。

剱御前小舎での会話 自分「ペットボトルはどれも500円ですか?」 小舎「2Lの以外は500円ですよ」 自分「じゃあMATCHください」 小舎「300円です」 自分&小舎「え!?!?!?!」 小舎「自分で500円って言ってたのになんでw」

剱御前小舎から先は去年も歩いたルート。まずは雷鳥坂下り。疲れてはいるものの、やはり気持ち軽やかでリズム良く雷鳥沢へ降りていきます。雷鳥沢キャンプ場には多数のテントが見えて、その賑わいが離れたところからでもよく分かります。雷鳥沢のとてもきれいで澄んだ流れを橋で渡り、雷鳥沢からみくりが池目指して登り返し。雷鳥荘でも日帰り入浴出来る話は聞いていましたけど、表にはっきり出てなかったのと室堂から遠いのでパスして室堂へ進みます。血の池をすぎて山崎カール展望台へ。展望台近くでウェディングドレスとタキシードの2人とすれ違いました。ウェディングフォトというか前撮りというか、山好きの2人だとこういう選択肢もあるのだなぁと。すれ違う時に「おめでとうございます!」と声をかけ祝福。そこからみくりが池温泉は目と鼻の先です。

みくりが池温泉で温泉と名物を

去年は休憩がてら立ち寄っただけのみくりが池温泉。ここで日帰り入浴とレストランで軽く打ち上げとします。日本秘湯を守る会会員宿であり、室堂からのアクセスも抜群で、いずれはここに宿泊しての山行もやりたいところ。温泉は白濁系のいいお湯でシャンプー&ボディソープもあります。レストランもメニュー豊富。げんげの唐揚げと生ビールのセットをいただきました。汗を流したあとのビールと富山名物は控えめに言って最高でした。

〆は富山グルメで

室堂に戻りすぐに、美女平へ向かう立山高原バスの列に並びます。ケーブルカーでも無事着席できたのが幸いな混み具合。立山駅から電鉄富山駅へ東急大井町線を思わせるカラーリングの電車で戻っていきます。

富山旅の〆、そして剱岳登頂の祝勝会は富山駅にある「氷見きときと寿し」へ。壁には雨晴海岸からの立山連峰と剱岳の眺望の写真が使われており、天気のバッチリなタイミングで是非行ってみたくなります。こちらのお寿司屋さんは、地物のネタが豊富。存分に富山の海の幸を堪能して帰路につきました。

山小屋情報(2022.9.10-11時点)

(別ページでまとめたのち、こちらにリンクで紹介します)

まとめ

山を始めて丸3年。3年度目の大一番となった剱岳山行でした。このちょうど1年前に黒部峡谷や立山三山、立山黒部アルペンルートを観光しましたが、その時には翌年に剱岳に到達できるとは思わずでしたので、案外歩けるようになるものだなと。

剱岳山行前には、新田次郎の『劒岳 点の記』やヤマケイ文庫の『剱人 剱に魅せられた男たち』、山と溪谷社の『富山県警レスキュー最前線』などを読んで気分を高めていました。いずれ長次郎谷にチャレンジできるといいなと思っています。

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