山と旅と気象と

鶏冠山・甲武信ヶ岳

山行概要

山行日程

2022年10月22日土曜日〜23日日曜日

天気

Day1:曇後晴、Day2:晴

アクセス

往路:JR中央本線塩山駅下車。タクシーで西沢渓谷入口まで30分
復路:西沢渓谷入口バス停より山梨交通バスで放光寺入り口バス停下車。はやぶさ温泉立ち寄り。隼上バス停より山梨市営バスで山梨市駅バス停下車。

コース

コース詳細

西沢渓谷入口BS→ねとりインフォメーション→西沢山荘→二俣吊橋→鶏冠谷出合→鶏冠山登山口→チンネのコル→第2岩峰→第3岩峰基部→巻道→第3岩峰(山梨百名山標柱)→鶏冠山→2177地点→木賊山→甲武信小屋(泊)→甲武信ヶ岳→甲武信小屋→木賊山→戸渡尾根→徳ちゃん新道→西沢山荘→ねとりインフォメーション→西沢渓谷入口BS

コースタイム

西沢渓谷入口BS→鶏冠山→木賊山:バリエーションルートのためコースタイム不明、甲武信小屋→甲武信ヶ岳:ヤマレコ0:24、甲武信ヶ岳→徳ちゃん新道→西沢渓谷入口:ヤマレコ4:19

【実測】西沢渓谷入口→鶏冠山→木賊山9:22(休憩込み)、木賊山→甲武信小屋0:12、甲武信小屋→甲武信ヶ岳0:10、甲武信ヶ岳→徳ちゃん新道→西沢渓谷入口3:09(休憩込み)

GPS記録

ヤマレコ

YAMAP

山行記録

山梨百名山四天王への挑戦

攻略パーティ結成

多摩百山を踏破した後、ローカル百名山の次なる目標になったのが山梨百名山でした。その一座になっている南アルプスの鋸岳は富士川水系源流でもあり、一級水系源流完全制覇の旅でも目標としている山です。しかしながら、その技術的難易度ゆえステップを踏む必要があり、そんな話をしている中で奥秩父の鶏冠山(とさかやま)は鋸岳の前哨戦として良い目標ではないかということになりました。しばらく先かなぁと思っていた矢先に、日程の調整がつき、さらに興味を持ったメンバーが集まることとなって鶏冠山攻略パーティが結成されました。

山行計画

山行計画自体はソロでの鶏冠山ピストンを経験された方にお任せし、自分は気象係と下界での交通手段含めたロジを担当しました。 気象解析の様子はこちらの写真の通り。これとヤマテン、Windy、SCWの予測結果を見比べながら土日の行動時間との関係での留意点を考えていました。気象予報士資格を持っているとはいえ、まだ合格から半年ばかりで実務経験なしなので、色々難しいものでした。今回のケースは特筆すべき留意点がないというか、天気が荒れないパターンの天気図の解析でした。これはもっと経験積まないと厳しいです。最低限、毎日の天気図チェックに気象情報の視聴は欠かせません。

西沢渓谷へ

登山口までのアプローチは始発電車乗継からのタクシーで時間を稼ぐ作戦に。都内始発ではなく、三鷹4:40発の高尾行きから、高尾で大月行き、大月から甲府行きに乗り継いで塩山へ。高尾では向かいのホーム乗り換え(1分)、大月では階段を上がって連絡通路を渡って乗換(3分)。大月のが割とキツい。タクシーは6人が2台に分乗若しくはジャンボタクシーを手配必要ということで事前に予約。駅に待機してるタクシーだと基本1台だけかな?北口に1台、南口に1台は待ってるだろうけど、他のハイカーとの取合いになるし、事前予約が確実。タクシーだと塩山駅→西沢渓谷が30分。0700時には西沢渓谷に到着するので、バスアクセスよりも2時間半のアーリースタートが可能になります。

西沢渓谷〜鶏冠山

西沢渓谷よりクライムオン

そんなアプローチを経て、0712時西沢渓谷・東沢山荘前からクライムオン。林道ゲートを越えて、ねとりインフォメーション。その先に徳ちゃん新道入口と西沢山荘。ここまではダンプカーも走ってくる広い林道が続きます。その先、二俣吊橋を渡って西沢渓谷周回コースを進むと、あまりに堂々としたバリエーションルートへの案内(;´’-‘`)ここからが本番です。

第一核心・鶏冠谷出合渡渉

渡渉地点までは、河原を通っていく河川コースで進みます。右手から沢が合流するのが見えると、その合流点の木の高いところに鶏冠谷出合の看板がついています。さてたどり着いた鶏冠谷出合。膝下まで水に浸かるという情報がほとんどでここが第一核心と心してやってきました。なにより10月下旬で水も冷たいはず。ここで大きく濡れてしまうとこのあとが厳しくなります。

渡りきった後に撮った写真がこちら。事前情報では膝下まで浸かるとのことで、mont-bellのロックオンサンダルを購入して持ってきたわけですが、なんということでしょう全く濡れませんでした。実は弱点を探しまくった結果、緑のルートを辿ると飛び石伝いに濡れずに行けることが判明し、全員無事に濡れずに渡渉することに成功したわけです。後から来たおじさん(我々より先行し、後ほどすれ違ったので日帰り鶏冠山ピストン)は赤ルートをジャブジャブやって渡っていました。渡渉箇所では一旦長めの休憩を取ることに。ピーナッツバターのランチパックを食べて補給しました。

鶏冠谷渡渉〜チンネのコル

最初は鶏冠谷を右手に見て進み、鶏冠山登山道の標識から急斜面を葛折りに登っていきます。突然「ガンバレ!」看板に応援されたりもします。この辺は奥多摩の青線(守屋地図)レベルでも出てきそうな感じです。登山道がいったん落ち着いたところでコンティニュアスビレイシステムを構築し、その後に控える悪路に備えます。バタフライノットにロッキングカラビナを噛ませてシットハーネスに接続。講習で習ったのは昨年ですが、使わないと忘れてしまうシステムですね。ここからチンネのコルまでが第2核心部。泥壁の急登や写真のような切れ落ちたトラバースを通過します。最後は枯れ沢のような地形の急斜面を詰めていくとチンネのコルこと第一岩峰のコルに到着です。

チンネのコル〜第3岩峰基部

チンネのコルこと第一岩峰のコル。コルの横に聳え立つ岩壁が第一岩峰で、目指す鶏冠山山頂とは逆方向なので登らなくてヨシ。岩壁と逆の方へ進みます。チンネのコルでコンテを解除し、休憩を取りました。ちなみにチンネはドイツ語で岩壁中の一部尖った先端部のことを言うそうです。言われてみれば、剱岳三の窓の東にありますね、チンネ。

チンネのコルから第3岩峰基部までは序盤こそ土の山道ながらすぐに岩稜帯へ。そして第2岩峰付近に2箇所鎖場が出てきます。写真のような岩峰が出てきたあたりで見晴らしも抜群になります。まだそんなに難しい場所ではない。目指す第3岩峰は正面に見えるも「あそこ行くんですか???」状態は変わりません。第2岩峰の鎖場に続き、次の鎖場も控えています。第2岩峰の方はロープでフォロービレイしてもらいながら登攀。テンションはかからなかったので、実質フリーで登ったみたいなものとクライミング経験者の方からは聞きました。高度感があるので、3点支持を保つことに注意して集中して登攀しましたが、もう少し余裕もって登攀したいところです。そしていったんコルに向かって下りて樹林帯を抜けたところに聳え立つのが第3岩峰。そしてその基部が直登コースと迂回路の分岐となります。

第3岩峰(山梨百名山標柱)

クライミング経験のある方や登攀に自信のある方はやはり直登ルートを行くとのことで、先に登って中間支点設置作業を始めました。その設置や回収をしている様子を見ていて、どうしても全員そのルートと言われれば仕方なくとは思ったものの、やはり登攀力に自信がなく迂回路を選択しました。迂回路は基部からいったん下ろされるところが急坂で足下が非常に悪く、九州くじゅう連山の三俣山本峰から北峰を目指す道を思い出しました。それもそんなに長くはなく、登り返しからあっという間に分岐へ到着。分岐から引き返す方向へ進み、第3岩峰トップの山梨百名山標柱へ。噂通り新しい標柱が設置工事待ちで待機してました。

鶏冠山山頂を越えて木賊山へ

迂回路を通ったとはいえ、これでひとつ達成したかと思うと感慨深いのですが、甲武信小屋やその手前、バリエーションルートの木賊山まではまだしばらく距離があります。鶏冠山山頂までは軽いシャクナゲの藪の中を進むことになります。鶏冠山最高地点に到着し、これで名実ともに山梨百名山四天王の一座を踏破です。薮がこれで済めば良かったのですが、そこからもシャクナゲの激薮に入ったり、また岩稜帯の稜線に出たり、そもそも尾根上で急坂のアップダウンを繰り返したりと体力と気力を相当消耗するルートへ突入しました。シャクナゲの藪の深さは、後続から見た時に先行者が「藪の中に沈んでいく」という表現に全てが詰まっています。2,177m峰は特に山名標のない無名ピークながら、360度見渡せる素晴らしい景色を楽しめます。ただ楽しむ余裕があるかは別の話。鶏冠山からここまで、思った以上に時間がかかりました。さらに木賊山までは距離もあり、加えて大きな登り返しも控えていますが、メンバーにも少しずつ疲労が見えてきました。バリエーションが得意なメンバーが交代で先頭を取りルートファインディングしながら進みます。木賊山への最後の登りはピンクテープを探しながら。木賊山へ直接出るか、鶏冠尾根の終点まで尾根沿いにいくかの2択になりますが、時間もかなり押していたこと、ここまでの藪漕ぎアップダウンで消耗していたことから甲武信小屋に近い木賊山への道を辿ることに。詰めた先が平坦になり、開けたところに出ると、そこが木賊山。鶏冠尾根ルート踏破です!やっとチームに活気が戻りました。

TTKルート完成&下山

甲武信小屋(2年ぶり2回目)

甲武信ヶ岳を正面に捉えるザレ場を下り、やっと甲武信小屋到着。小屋泊の予約をした自分が小屋の人に段取りを確認するため、先行して小屋に向かいました。 ギリギリ前半組の夕食開始時間に間に合うタイミングで到着。受付、荷物整理を済ませて後半組1730時からの回で夕食をいただきました。夕食前にはビアで乾杯!鶏冠尾根踏破お疲れ様でした!

夕食は甲武信小屋定番のカレー。この日はおかわり不可のため、最初にご飯の盛りを聞かれるのですが、大盛りで頼んだ上で小屋番から「これで足りる?大丈夫?」と量を煽られるというなかなかない経験。カレーは間違いなく美味しかったです。夕食後はいったん食堂を撤収したのち、談話室として開放されたタイミングで再入場。持ってきたつまみで酒を飲みながら消灯の20時まで過ごしました。

甲武信小屋の売店はこんな感じでほぼ飲み物のみ、つまみや菓子類は置いてませんでした。あとは注文式の日本酒やハイボール、ホットワインも。

今回の甲武信小屋の朝ごはん。メインは茶碗蒸し。ごはんはお櫃から食べれるだけよそうスタイルでおかわり自由。テーブルにごましおがあるから、ごはんが捗ります。

甲武信ヶ岳アタック

Day2スタート。自分だけはどうしても甲武信ヶ岳までつなぐT(鶏冠山)T(木賊山)K(甲武信ヶ岳)をつなぐことを諦めきれず、晴天という条件もあって、他のメンバーより先発して甲武信ヶ岳ピストン後に徳ちゃん新道を追いかけることにしました。甲武信小屋すぐ裏、右手に行くと甲武信ヶ岳で、写真に写るロープの先に甲武信小屋のポンプ小屋があり、釜ノ沢東俣を詰めるとここに出てくるそうです。登り途中の木々の隙間から御来光が見え、山頂手前の岩場のところで絶景に遭遇。来てよかった、の一言に尽きます。そして、2年前の奥秩父縦走(笠取山→瑞牆山荘)以来の甲武信ヶ岳。これでTTKルート完成です。甲武信ヶ岳はまたしても新しい山の世界を見せてくれました。

戸渡尾根〜徳ちゃん新道〜西沢渓谷

甲武信ヶ岳にそんなに長居はせず、すぐに下山を開始して甲武信小屋、木賊山を経由して先行を追いかけます。木賊山の先で、鶏冠尾根を尾根直登すると出てくる地点も確認。戸渡尾根方面と破風山方面の分岐から西沢渓谷までは、実は初見コースです。ダラダラ下るだけとも聞きますが、さて。

少し下ると樹林帯がひらけて、ガレ場の展望スポットに。広瀬ダムごしに向こうに見える富士山、右手には奥秩父の山並み。展望スポットから10分ちょっとで先行に追いつきました。徳ちゃん新道と近丸新道の分岐で一旦休憩。近丸新道は道が悪いと聞いており、今回は徳ちゃん新道で下ります。途中の紅葉スポットからの1枚では、紅葉に囲まれる富士山という貴重な絵を手に入れました。途中急斜面を葛折りで一気に下ったり、右手に昨日通過した鶏冠山を眺めたりしながら順調に下山して、西沢山荘横の徳ちゃん新道登山口到着。その日の朝組んだ予定よりかなり巻けたので9時台のバス間に合いますね、となりました。ねとりインフォメーションを通過する時、傍にあった手書きイラスト看板がすごいのにみんな見惚れていました。そしてゲートの向こう、国道140号の半ループ橋の下にこんな看板あったんですね。往路で気付かず不覚。そして西沢渓谷入口バス停には0920時到着。0935時発の山梨交通バスには余裕で間に合ったし、東沢山荘のよもぎ餅も買えました。

はやぶさ温泉

乾徳山以来のはやぶさ温泉。午前中だと流石に空いていてゆったり過ごせました。あんなに硫黄の匂いが強いお湯だったかな?あと、はやぶさ温泉手前の橋のたもとがサバゲーの会場になってて上から見てて面白かったです。

まとめ

鶏冠山やってみて、もう少し登攀力がついたら余裕もってより色々楽しめそうだなあとは。ボルダリングで6級を登れるようになりたいですね。ロープだと今のところ5.8オンサイトだけど、これももう少し伸ばせれば。鋸岳目指すのに、ギリギリじゃなくて少し余裕が欲しいですね。そんな課題がハッキリした山行となりました。

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