白馬岳・小蓮華山(猿倉in大雪渓・大池経由栂池out)
夏の白馬岳へ。猿倉から栂池へ向かって、大雪渓や新潟県最高峰・小蓮華山、白馬大池、白馬乗鞍岳ををたどる縦走。宿泊は白馬山荘。
目次
山行概要
山行日程
2022年8月11日(祝)〜12日(金)
天気
8月11日(祝):霧 後 曇 夕方から 晴
8月12日(金):霧 後 曇
アクセス
往路:JR大糸線白馬駅からアルピコ交通バスで猿倉BS
復路:栂池高原BSからアルピコ交通バスでJR大糸線白馬駅(実際はバスを途中下車して八方温泉やスノーピークランドステーション白馬に立ち寄り)
コース
コース詳細
Day1:猿倉BS(猿倉荘)→鑓温泉分岐→御殿場→白馬尻小屋→雪渓末端(休憩)→大雪渓→(秋道)→葱平(休憩)→(秋道)→村営白馬岳頂上宿舎(休憩)→白馬山荘(チェックイン・休憩)→白馬岳→白馬山荘(泊)
Day2:白馬山荘→白馬岳→三国境→小蓮華山→船越ノ頭→白馬大池→白馬乗鞍岳→天狗原→栂池ビジターセンター(栂池山荘)→栂池ロープウェイ自然園駅
コースタイム
猿倉→白馬山荘 6:13(ヤマレコ)、5:50(山と高原地図)
白馬山荘・白馬岳往復 0:34(ヤマレコ)、0:25(山と高原地図)
白馬山荘→栂池ビジターセンター 4:28(ヤマレコ)、5:45(山と高原地図)
GPS記録
ヤマレコ
YAMAP
山行記録
猿倉登山口までのアプローチ
前夜に信濃大町までたどりついていたので、大糸線の始発列車で白馬へ。6:09信濃大町発南小谷行き列車で揺られること約40分。白馬駅前3番乗り場から猿倉行きバスが出ます。この日は自分含めて、白馬駅前から5名、八方バスターミナルから数名の10名前後の乗客でした。バスに揺られること約30分。小日向温泉の先、くねくね曲がった山道を詰めたところに猿倉荘(猿倉BS)があります。標高1250mから登山スタートです。
猿倉荘
猿倉荘には北アルプス北部地区遭対協の登山相談所があります。コンパスで提出済みな旨を告げて、大雪渓に関して注意事項を尋ねました。雪渓を通過するルートの登山口なので猿倉荘ではアイゼンの貸出(¥1,200-)があります。
猿倉荘から大雪渓経由で白馬山荘へ
大雪渓ルート
猿倉登山口よりクライムオン。猿倉荘から御殿場までは砂防工事専用道路を通るので、比較的歩きやすい広い道を進みます。途中白馬鑓温泉への道を分け、しばらく進んで登場する広い場所が御殿場です。この時、稜線はしっかり雲に包まれていました。
御殿場から先で山道に入ります。途中、木橋などでの徒渉箇所があり、それを越えて行った先に白馬尻小屋があります。白馬尻小屋があります。2022年は休業。大雪渓のスタートまではもう少し登らないといけません。
白馬尻小屋からの大雪渓末端方向の様子。これを右手に見ながら進んでいきます。
途中、木橋などでの徒渉箇所があり、それを越えて行った先に岩壁も。そして、しばらくすると右手の涸沢が真っ白に。雪渓末端到着です。ここから大雪渓の登りが始まります。取付きのところでチェーンスパイクを装備し、いざ白馬大雪渓へ
白馬岳と言えば白馬大雪渓。真っ白というには土汚れが目立ち過ぎていますが、その分踏み跡明瞭で歩きやすいです。遭対協の方からはクレバスが出来かかっているところもあるので、踏み跡から外れないよう注意するようにと、猿倉荘でお話を伺いました。大雪渓を吹き抜けてくる風は基本雪渓で冷やされて涼しいのですが、後立山連峰の稜線を越えて黒部方面から吹き抜けてくる暖かい風がたまに混じっていました。そして、稜線の雲はなかなか取れず、雪渓上部に行くほど視界は霧で不明瞭に。
猿倉荘でお話を伺った遭対協の方からはもう1点、大雪渓の途中から秋道に変わるという話がありました。切り替わるポイントでは写真を撮り逃したのですが、岩室よりも下方の地点です。そして、秋道に入ると最初は沢を跨ぐガレ場から始まって、次第に両側をお花畑に囲まれる格好になります。
小雪渓の末端付近を見つつ、ここで一旦水分補給の休憩。ここが葱平(ねぶかっぴら)と呼ばれるポイント。
白馬岳の特産種であるネギボウズの形をした薄紫色の花をつけるネギ科のシロウマアサツキ(白馬浅葱)の花が生育していたことから葱平の地名が由来になったそうです。しかし最近ではほとんど見られません。
日本アルプス登山ルートガイド 白馬大雪渓ルート
葱平から先は小雪渓沿いにトラバースしつつ、高度をさらに上げていき村営白馬岳頂上宿舎のところへ出れば大雪渓ルート終了です。
村営白馬岳頂上宿舎
外来食堂のメニューが豊富。デザート系も充実しています。食堂のカウンターの隣に売店スペースがあり、Tシャツや手ぬぐいがずらり。宿泊の受付は別の場所です。
白馬の稜線へ
上の写真にもチラッと写っているこの建物が今回の泊地、白馬山荘。建物が大きいため、距離感がバグるのですが、実際そこまで遠くはありません。稜線の道は広いザレのルートで、とても見晴らしがよく、振り返ると白馬三山を構成する杓子岳や白馬鑓ヶ岳、その向こうには立山連峰や剱岳も拝めます。真っ直ぐ伸びる稜線の両側に翼のように広がる白馬山荘が近付いてきました。
白馬山荘
受付
受付は白馬岳方面に向かって右手の1号館と呼ばれる建物です。WEBサイトでダウンロードできる宿帳を事前に書いてくれば、それを受付のカゴに入れることで順に案内されます。宿帳を忘れてきた人も現地で記入可能です。
夕食時間は宿泊受付順に案内されます。私は12時に白馬山荘着で、一番早い17時からの回を案内されました。
館内(宿泊棟)
宿泊棟は白馬岳に向かって左手の建物、手前が2号館で奥が3号館です。反射して見づらいですが、2号館1階の入口入ってすぐに階段があり、2階3階の宿泊部屋へ上がれます。
1階には客室の他に、手前から乾燥室、昭和大学医学部診療所、自炊室、談話室、一番奥に食堂があります。
2号館1階には白馬山荘百年史のギャラリーもあります。今回宿泊したのは2号館の窓が南向きの六畳間。ここにソロハイカー5人で泊まりました。この部屋の良いところは、明るい時は剱岳や立山連峰の稜線、暗くなってからは富山平野の夜景が眺められるところ。
スカイプラザ白馬
白馬山荘の外来食堂兼売店のスカイプラザ白馬。雲上のレストランを名乗っています。建物は1号館の南側、村営頂上宿舎からよく見えていた建物です。
中の様子はこんな感じ。レストランの客席からのアングルですので、正面奥す左手に入口があります。写真右手奥にカウンターがあり、会計やレストランの注文はそちらで。
レストランのメニューはこちら。以前は牛丼があったそうですが、2022年8月の訪問時にはなく、代わりに山賊バーガーがありました。この日はごはんが無くなったそうで、お昼なのにカレーライスが売り切れという珍しい事態に。そこでお昼は山賊バーガーとおやき(野沢菜)、白馬岳登頂後に生ビールとウインナー盛り合わせ、夜にハイボールをいただきました。
左上:山賊バーガー
右上:おやき(野沢菜)※あつあつなので手に取る時注意
左下:生ビールとウインナー盛合せ
右下:ハイボール(レモン入り)
白馬山荘のお食事
夕食は受付時に指定された時間に食堂に並び、順番にトレイを持ってごはん、味噌汁、小皿、メインを受け取って、小屋の方が指定する席につきます。
夕食はメインがハンバーグ。小皿にはおひたしとたけのこの煮付け。ごはんはおかわりできます。
メインのハンバーグ、舞茸を添えたデミグラスソースが味を引き立てます。(比較するのが失礼なのは承知ですが、雲○山荘よりも相当美味い)
朝食ですが、翌朝の出発を4時台で考えていたため、お弁当に変更してもらいました。受取は宿泊受付をした場所で、17時以降(実際は厨房からの搬入もあるので17時半くらいから)
このようなパッケージで、中にはおかか海苔ごはん、おかずが5種類。ちなみにパン弁当にすることもできるそうで、その見本がこちら
白馬岳へ(白馬山荘からピストン)
時間を戻して、スカイプラザ白馬での昼食後。荷物もアタックザックに切り替えて、白馬岳登頂に向かいます。
味のある道標。そういえば、分岐以外で今回の山行では道標をほとんど見かけませんでした。山頂までは単調な登りです。
山頂が見えてきた
白馬岳登頂です。隣の三角点は、一等三角点・白馬岳。少し青空が広がり始めました。この日は山の日ということもあってか、山頂は大賑わい。人も多く落ち着かないので早めに山荘へ戻りました。
展望版にお賽銭が……。何のご利益が?
松沢貞逸顕彰碑。白馬山荘と白馬岳の間で、白馬山荘寄りの場所にあります。
再びの白馬岳へ
部屋で荷物整理をして休憩していたところ、同じ部屋の方と話が盛り上がり、日の入り目掛けて白馬岳に向かうとのことでご一緒させていただくことに。この日2回目の登頂です。
夕食前にはこんなに晴れ渡ってきた立山連峰方面。夕焼けにも期待が高まります。ただ剱岳にかかった雲がなかなか外れない。
夕食後の出発前準備中に部屋の窓から見ると、剱岳もバッチリ
昼の登頂時とは比べものにならないくらいの絶景です。
素晴らしい青空の下で、本日2度目の白馬岳!
ふるさと納税御礼品で入手したスタッキングマグ雪峰450。白馬店限定カラーなので、これを使って白馬岳でコーヒーを飲むという目標が達成できました。
そして肝心の夕焼けは、富山湾に低い雲が多く水平線に沈むところまでは見ることができず残念な結果に。
また次の機会に
逆の空には満月が登って行くところでした
山荘に戻り、夕焼けハイキングに同行した3人で山の話などして盛り上がりました。
白馬山荘から栂池へ
白馬山荘→三国境
朝は昨日受け取ったお弁当とコーヒーで優雅に(したつもりだけど、自炊室は周囲がドタバタ)
予定通り4:30に白馬山荘を出発。4時台に出る人も結構多いのですが、栂池方面はほとんどいませんでした。
栂池方面に向かう人自体は多いのですが、朝食を山荘で取ってからゆっくり出発する方が多いです。同室の全員が栂池下山でしたが、弁当にしたのは自分ひとり。
完全にガスの中の白馬岳を通過して、
馬の背と呼ばれる長野側が切れ落ちた崖になっている稜線を慎重に進みます。やはりレッドレンザーはいいですね。足下が昼のように明るい。
途中岩稜帯になるので、赤と黄色の○印を頼りに進みます。ガスってなければ、かなり高度感がある見晴らしの良い景色だったのだろうなと。
標高が下がるにつれて雲の中から抜け出し、雲と雲海に挟まれた朝焼けの風景が広がり始めました。
振り返るとモルゲンロート
ハイマツ帯が広がるので、雷鳥が出てきてくれないかと期待しましたが、そんなにうまく行くわけはなく。朝焼けの稜線を進むと
三国境(2,751m)に到着です。
三国境→白馬大池
三国境からは、この正面に進むと白馬大池方面。
一方のこちらは雪倉岳、朝日岳、さらには栂海新道につながります
朝焼けに染まる小蓮華山への稜線
振り返るとまだ白馬岳は雲の中。こうしてみると、雲底が約2,800m〜2,900mにあるのかなというところ。
いよいよ近付いてきた小蓮華山。ここまで多少のガレが目立つ程度の見晴らしの良い稜線歩きが続きます。
三等三角点・小蓮華
小蓮華山は新潟県最高峰。山頂は見晴らしがよく、休憩にも最適。ここからは船越ノ頭までちょっとしたアップダウンを繰り返します。
雲海の広がる姫川沿いの谷
ハイマツ帯に沿った稜線歩き
イワヒバリ
船越ノ頭からは白馬大池が一望できます。白馬大池へはハイマツ帯のガレ場である雷鳥坂を一気に下り、ケルンが並ぶ平坦なガレ場を抜けると、蓮華温泉への道を分けて白馬大池山荘に到着です。
白馬大池
白馬大池山荘。テント場のカラフルなこと
雷鳥坂を下った先はケルンがいくつも並ぶ道
白馬大池山荘の奥に見えるのは白馬乗鞍岳
蓮華温泉分岐
白馬大池山荘→栂池ロープウェイ自然園駅
白馬大池山荘を越えると白馬大池の北縁に沿うように安山岩のゴーロの上を進みます。登り詰めた先が白馬乗鞍岳。大きなケルンが目印です。少しの間平坦ながらゴーロやガレの目立つ道を行くと、ゴロゴロした岩の目立つ下りになり、ロープが張られた雪田に到着します。ロープを頼りに慎重に下ると、今度はゴーロの急坂下りでひと段落し木道に入ったところが天狗原です。
白馬大池山荘の入口
白馬大池山荘の脇から白馬乗鞍岳へ
北縁から見る白馬大池
大きなケルンが見えたらもう少し
白馬乗鞍岳
白馬乗鞍岳山頂付近の台地を抜け、天狗原を目指す
降った先に雪渓???
山と高原地図にも記載のある雪田
振り返って撮影。ロープも頼りに通過します
雪田の先はゴーロの下り
木道の見えるあたりが天狗原
なかなかの斜度
平坦になるとすぐ木道が現れる
風吹大池からの道が合流
天狗原の木道の先、清水が湧き出る道を抜け樹林帯のジグザグ下りを繰り返すと栂池ビジターセンターに到着。栂池自然園の入口を兼ねたビジターセンターの横には栂池山荘と栂池ヒュッテの2つの山小屋があり、軽食もいただけます。ここからロープウェイまでは舗装路で安心。栂池ロープウェイの建屋にたどり着けばゴールです。
天狗原
湿原を貫く木道
岩が目立つ
銀●水
手前にビジターセンター、奥にロープウェイの建屋が見えてきました
水場表示になっている沢
お疲れ様でした
栂池自然園ビジターセンター
ビジターセンター寄りが栂池山荘
軽食が充実
小谷村名物のさるなしを用いた、さるなしソフトクリーム(¥300-)をいただきました。疲れた身体に甘酸っぱい味の冷たいソフトクリームがとても美味しい。
隣は栂池ヒュッテ
栂池ロープウェイ自然園駅到着です
栂池自然園から白馬駅へ(つがいけロープウェイ)
栂池ロープウェイ
栂池ロープウェイは全長1,200m、高低差284.54mを約5分で結び、20分間隔の運行。
自然園駅(標高1,829m)
白馬岳周辺の立体模型
栂池ゴンドラリフト「イヴ」
最大6人乗りのゴンドラで、全長4,120m高低差625.26mを約20分で結びます。途中の白樺駅で扉が開いてしまうので、間違えて降りないように要注意。話を聞いていても間違えそうになります(笑)
栂池高原→白馬駅
ゴンドラリフトの栂池公園駅からすぐのロータリーにアルピコ交通や小谷村営バスの栂池高原バス停があります。アルピコ交通バスは白馬駅行きのほか、長野駅まで直通の特急バスもあります。今回は、途中の八方バスターミナル横にある「八方の湯」で日帰り入浴、スノーピークランドステーション白馬で記念の品を購入して、徒歩でJR白馬駅へ向かいました。
栂池高原BS
白馬駅行きバス
八方に寄り道
八方の湯。入浴料は¥800-で、レンタルタオルが¥350-
スノーピークランドステーション白馬店限定カラー
白馬駅。かつては信濃四ツ谷駅でした。
松本行きワンマン列車でおつかれ山でした。
白馬のお花畑
今回の山行ではお花畑が至るところにありました。撮影した高山植物を一気に紹介します。(間違っているところがあれば、是非ご指摘ください)
白〜クリーム色
①ミヤマカラマツ?、②イワツメクサ、③タカネトウウチソウ、④ウメバチソウ?、⑤?、⑥チングルマ、⑦ツガザクラ
黄
①オタカラコウ?、②オオバミゾホオズキ、③ミヤマキンバイ、④⑤ウラジロキンバイ?、⑥シロウマタンポポ、⑦⑧ミヤマキンポウゲ、⑨⑩ウサギギク、11・12キオン?
赤〜赤紫
①クルマユリ、②ミヤマシオガマ、③テガタチドリ、④タカネナデシコ?、⑤⑥ハクサンフウロ
青〜青紫
①ヒメシャジン、②チシマギキョウ、③オヤマリンドウ、④イワギキョウ、⑤ウルップソウ、⑥イワギキョウ、⑦ミソガワソウ
まとめ
昨年の火打山に続く、山を始める前に登れなかった因縁の山行シリーズで、大雪渓と白馬大池を通り、猿倉から栂池へ抜けるコースを歩いてきました。
大雪渓は途中から秋道に乗り換えますが、その区間だけでも圧巻の景色で、大雪渓を歩く間だけでも、稜線から吹きおろす涼しい風を堪能することができました。
この日は朝から稜線が霧に包まれ、次第に霧は晴れていくものの、青空がしっかり見えたのは夕方から。宿泊先の白馬山荘でたまたま同室だった方と話が盛り上がり、日の入りを狙ってその日2度目の白馬岳山頂を目指したのですが、これが大正解で2日間の山行で一番の絶景を見ることができました。
台風接近で早めに下山し帰路に着こうと、2日目朝は4時半の出発。濃霧の中の馬の背通過は慎重に足を運び、標高を下げて三国境が近付いたところでモルゲンロートにも出会えました。復路はほぼ休憩なしで栂池自然園まで下山し、栂池山荘で購入したさるなしソフトクリームを食べながらロープウェイへ。これから登る方の「涼しいね」という会話が聞こえましたが、2,900mから一気に1,800mまで下山した自分にとっては暑いことこの上なく、そのギャップに笑ってしまいました。
日帰り入浴は八方バスターミナルすぐ近くの八方の湯へ。今回の山行の記念品にスノーピークランドステーション白馬で白馬店限定カラーのマグと先割れスプーンを購入して帰路につきました。